vol.12 ワインから日本酒へ

梅錦山川 (株) 社長山川 浩一郎  健康指向に乗ったワインブームもピークを過ぎたようです。ブームの引き金になったフレンチパラドックスや、ポリフェノール神話が話題になり、ワインが健康に良いという行き過ぎた俗説までささやかれるようになりました。  ワインから日本酒への動きを予測する根拠は、昨年暮れからいろいろな分野の雑誌が日本酒特集を組み出したことにあります。手元にあるだけでも'98年11月からの5ヶ月間に9誌が日本酒特集を組みました。 (表1参照)  この間、日本酒プレゼントを実施した雑誌は梅錦が提供したものに限っても19誌を数えます。


表1
'98.11月号
「サライ」 「BRUTUS」 「Oggi UOMO」
'98.12月号
「Men's Ex」
'99.1月号
「Goods Press」
'99.2月号
「danchu」 「FENEK」 「蘇る」
'99.3月号
「週刊ダイヤモンド」
↑日本酒を取り上げた雑誌

 1979年から始まった地酒ブームは酒の銘柄の由来や純米酒、本醸造酒、吟醸酒など、お酒の原料や作り方などのハードを基礎知識に持つことから始まりました。杜氏の出身地による酒質の違いや特定の酵母 (YK35) などマニアックな方向に進みました。また、地酒ブームを作ったメディアは週刊誌や食関係の雑誌でした。
 これに対して、昨年から始まった日本酒ブームでの取り上げられ方は多様です。


雑誌 「Goods Press」は冬用アウトドアグッズ特集と一緒に“新日本酒のススメ” (酒器カタログ付) がサブで特集されていました。

「BRUTUS」は“ワイン好きだから、もっと、日本酒を”と題して世界一になったドイツのソムリエ マルクス・デル・モネゴ氏に216種類もの日本酒の利き酒をしてもらったり、同じ世界一になったソムリエ 田崎眞也氏との対談を記事にしたり、日本酒ソムリエスクール校長 日本酒サービス研究会の木村克巳氏による“ワイン好きのための日本酒講座”のコーナーがあったりして、ワインの視点から日本酒を取り上げています。

「dancyu」は“日本酒の勝ち”と題して59ページにわたる大特集を組み、現在の日本酒を多角的に解剖した特集が組まれています。ここにも田崎眞也氏が登場しています。

「FENEK」は車の雑誌ですが、“幻の銘酒を飲みたい”というタイトルで日本酒と焼酎を紹介しています。

「週刊ダイヤモンド」は“健康に酔い日本酒”というタイトルで大手メーカーの地酒を紹介しています。

 '98年から始まった雑誌での日本酒特集の氾濫は新日本酒ブームと呼ばれています。新日本酒ブームはワインブームが作り出した健康と食中酒という視点から日本酒が見直されていることを意味するでしょう。また、ワインから日本酒に入る人達ができたのは日本酒にとって初めての経験です。海外旅行の経験者が飛躍的に増え、食の知識も国際的になり、ボーダレスとか無国籍といわれる感覚が身についてきています。日本酒の良さも世界の酒と見比べて美味しいお酒と評価してくれる人達が出来ました。

 日本酒を味わう酒として飲んでくれる人の裾野が広がることは日本酒に関わっている者として、これからの日本酒の将来が開ける第一歩として感謝しております。


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